ちょっとだけの愉しみ

アクの強〜いお笑いも面白いけど、ほんわか幸せになれるぐらいの笑いも楽しいもの。てなわけで、『わがまま演芸会』について。

文珍・南光のわがまま演芸会』(NHK

昨年8月に続く第2弾。1月7日と14日の2夜にわたって放送されました。内容は自称「上方演芸界の中間管理職」の桂文珍さんと桂南光さんが、それぞれの好みの若手落語家・漫才師を紹介するというもの。ただお2人は落語家さんなので、紹介する芸人さんも若手落語家の方に重きが置かれている様子。それぞれ2人の師匠とおしゃべりをする時間があるのですが、漫才師さんとはネタの後に少し舞台上で話す程度なのに対し、落語家さんには番組の最後に客席のアンケートを元におしゃべりをするコーナーを設けています。落語家さんのほうがテレビで話を聞く機会も少ないので、このあたりはしょうがないかもしれませんね。

今回の出演は、南光さんプレゼンツの7日が『笑点』(日本テレビ)でもおなじみの林家たい平さんと麒麟文珍さんご紹介の14日は真打に昇進したばかりという柳家三三(さんざ)さんとNON STYLEという組み合わせでした。

全体の印象としては、いろんな年代の人が楽しめる番組という感じ。最近のバラエティ番組はもとより、年末年始のネタ満載の番組も家族みんながそれなりに面白がれる内容のものって少なかったように思います。何でもかんでも万人向けにする必要はないし、私自身もオールラウンドなものより狭い方に進んでいく傾向の方が好きなので(苦笑)、いろいろアリでOKだとは思っています。とは言え、そういう番組が多い中で『わがまま演芸会』のようなものを見ると正直安心するところもあったし、「このぐらいでもいいんだなあ…」という気もしました。

落語のほうはどちらもポピュラーな噺で、たい平さんが父親に勘当された若旦那が奉公に出る『紙屑屋』で三三さんが台風の夜に本妻とお妾さんの家を行き来する羽目になる権助提灯』。文珍さんと南光さんもそれぞれ『風来坊』と『初天神をやっていて、『風来坊』の方は知らなかったけどアドバルーンで上に上がっていく動きも含めて面白かったです。

漫才は麒麟DVD『キリリン!』にも入っているテレビショッピングのネタで、NON STYLEイキリスト・井上さんが時代劇で悪者をやっつける話。観覧のお客さんの年齢層を見てか、どちらも普段よりテンポを落としてやっていたように思います。2組ともNGKでこのぐらいのお客さんを相手に漫才をしているのが生きた感じでしょうか。以前から麒麟は幅広く受け入れられる気がしていましたが、NON STYLEについては『NHK新人演芸大賞』でちょっと見方が変わりました。自分たちのスタイルを生かしつつ、いろんな年代の人にアピールする漫才をしていたのは、あの出場者の中で唯一このコンビだけだったんじゃないでしょうか。『わがまま演芸会』のネタはイキリを前面に押し出すものじゃなかったんですが、個人的にはイキリスト全開の方が好きかもなあ。今ぐらい馴染んじゃうと、もう、ね。あとはお客さんの笑いの量とかツボポイントも他の番組やライブとは違っていて、そのあたりも興味深かったです。

第2弾があれば第3弾もあるかな〜と思っていますが、当たり障りがなさ過ぎず、落語も漫才も楽しめるこの番組、今ぐらいのペースでいいので続けて欲しいなあと思います。