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で、M-1グランプリ』決勝の感想です。敗者復活戦の感想はこちら

正直、今年は常連の笑い飯麒麟に優勝してほしいなあと思っていたけど、今まで悔しい思いをしていた兄さん達が刺客となり、来年以降にお預けになりました。だけど、それも人生。また1年間で大きく飛躍してほしいと思います。それでは出演順に感想を書いてみます。

まずは笑い飯。最初に出場順を聞いた時、1番目というのはどうかなあと思っていたけど、まったく心配無用でした。10月の単独ライブ『笑い飯のおもしろライブツアー2005』でやった、靴を隠されたいじめられっ子に優しくするというネタでしたが、私は見た後思わず「すごーい!」と叫んでしまったほど。あの時よりも更に面白くなっていたし、「余談」の哲夫さんの胸のファスナーの話ともうまくつながっててお見事。このネタってその後しばらく見かけなかった気もするのですが、どうでしょう?最終決戦でハッピーバースデーのネタを持ってきたのもアッパレでした!あれで勝負を賭けるなんて最高です。制限時間の都合でだいぶカットされてたけど、バカバカしさの度合いは変わらず。笑い飯トランジスタラジオくんTBSラジオ)では、優勝できずに相当へこんでいると言いながら悪態ついてたけど(笑)、本当に優勝してもおかしくない漫才でした。

続くアジアンは、馬場園さんが万全でないと聞いていましたが、何とか晴れの舞台に出てこられて良かったですね。私もヘルニア経験者なので、他人事とは思えませんでした。M-1前のルミネtheよしもとの舞台や年末年始にお休みするところを見ると、相当悪かったんでしょう。この日の漫才にもその影響があったかもしれませんが、審査員のラサール石井さんが「自分のリズムとやるべきリズムが合ってなかった」と言ってたのは分かるような気がします。早口言葉が変化するネタは十分面白かったけど、残念ながら「向こう側」感は湧き上がってきませんでした。

3番手は南海キャンディーズ。優勝候補に挙げる人も多かったコンビですが、個人的にはどうかなあと思っていました。今年の夏ごろに2度ほど見た舞台では、私はあまり魅力を感じられませんでした。最近はMBS新世代漫才アワードで敗れたのがきっかけなのか、その後持ち直したように思いましたが、しずちゃんのキャラと山ちゃんの変化球のツッコミで押すだけでは、漫才としてはそろそろ難しいのかなあ…。この日の「歌のおねえさん」のネタもそうだったけど、変化球ばかりは逆に単調に見えるかも。

4番目に登場したのがチュートリアル準決勝でも見たバーベキューのネタでしたが、笑い飯の後、少し落ち着いた雰囲気を自分達の方にグイグイ引き込んじゃいました。徳井さんのボケもあさっての方向から来る感じですが、変化球っぽさがないのは、元来 身についているものだからかな?かつて『ワイ!ワイ!ワイ!』ファンダンゴTV)でも めくるめく徳井ワールドを展開してましたが、あの感じが垣間見えた漫才でした。たとえ「お茄子」だの「放り込んでくれや」だのと言わなかったとしてもね(苦笑)。困りながらも付き合う福田さんの感じもちょうどよく、長い知り合いだからこそ成せる漫才なのかなあと思います。麒麟笑い飯とはまた別な気持ちで応援していましたが、正直ここまでとは思ってませんでした。忘れ物は取り戻せましたか?(あのセリフはカッコよすぎるわ〜)

そしてブラックマヨネーズマンスリーよしもと11月号によれば、イベントがきっかけで今のスタイルが生まれたのだとか。2本ともノイローゼ気味に走り出す吉田さんの話を小杉さんが真面目に聞いてやるパターンなんだけど、吉田さんの暴走ぶりはすごかったし、それを受け止めようとする小杉さんの全力のツッコミも迫力満点でした。時々吉田さんが冷静な言葉を吐いたり、小杉さんが相手のペースに巻き込まれて思いがけないことを言い出したり(強くなるためにクマを飼うよう勧める、とか)して、一瞬立場が逆転するのも効果絶大。途中、距離や場所もよく分からない大阪の地名が出てきたけど、それも気にする間もなく、笑わされた感じです。しかもボーリングの話強くなりたい話もオチは吉田さんの「皮膚科の先生に相談する」。こんなことが許されるのかよ!と言われるはずなのに、それすらノープロブレム。最高でした。

6番目の品川庄司は、『太陽にほえろ!』の松田優作さんばりに死ぬシーンをやりたい庄司さんとなかなか思い通りに動いてくれない品川さんという設定での漫才。今度は品川さんが勝手し放題で、奇しくもチュートリアルから3本続けて一方が暴走するというパターンになりました。チュートリアル品川庄司のどちらを上に持ってくるかについては、この結果と逆を考えた人も多いようですが、私も言葉で魅せてくれる分、チュートリアルの方が好きかなあ。でも、この漫才を見てやっと「今年の品川庄司は違う」と言われていた意味が分かったような気がしました。

その次に出てきたのがタイムマシーン3号。やっぱりデブネタ(「デブニーランド」)だったか〜、とちょっと残念でもありました。ここまでの3組がすごかった分、こじんまりした感じ。体型はアレですけど(笑)。今まで気をつけてみていたわけじゃないけど、デブネタじゃない漫才もやってませんでしたっけ?結果を気にせず、自分たちのウリを見せるつもりだったらこれで良かったかもしれないけどね。「安西先生」のくだりも審査員に伝わったんだろうか、と思ったりしました。M-1爆笑オンエアバトルNHK)との見方の違いが感じられる評価だったと思います。

8番目は麒麟。いやいや、野球ネタはオチがバチンっと決まってました(笑)。準決勝の時には、途中の言い争いになるところで流れが止まる感じがしたのですが、決勝では実況の部分とうまくなじんで、逆にいいポイントになってた気がします。今までは田村さんのツッコミにあまり強く出て行かなかった川島さんが、ああいう形でグイグイ押してきて、これが麒麟の新しいスタイルになるのかなあという感じもしました。このごろは田村さんの天然な言葉が思わぬ効果を生んでいたけど、そういう雰囲気の場面で川島さんが立ち向かっていくのもいいですね。2人が対等な感じ。最終決戦は3回戦で見たファッションショーのネタでしたが、あの時は制限時間が3分ということもあり、ケンカするシーンがなくて、逆にそれが最後の「勢い〜」と叫ぶ意外な展開の面白さにつながってた気がするんですけどね。スタイルが変わって、そのポイントが薄れちゃったかな、という感じがしました。

最後は敗者復活戦から出てきた千鳥中田カウス師匠に「疲れが見える」と言われていたけど、確かに敗者復活での勢いが感じられなかった気がします。テレビ朝日に着いてそれほど間もなく本番、という条件もきつかっただろうと思います。同じbaseよしもと・トップ組で仲良しの笑い飯と3位を争うという、ファンには何とも言えない戦いでしたが、やはりあの笑い飯の漫才を圧倒するのは難しかったかもしれません。

…これで今年の『M-1グランプリ』がすべて終わりました。偶然と思いつきから、初めて予選から見たM-1でしたが、これほど圧倒されるとは思いませんでした。途中、出場して敗れた人たちのブログも見ましたが、それぞれに悔しさと来年への思いを書いています。優勝したブラックマヨネーズを除くすべての出場者が、悔しい思いを胸にまた1年を過ごすのかと思うと、すごい大会だなあと感じるし、また、もっとおもしろ漫才が見られるのかとわくわくするところでもあります。それぞれにリスクを背負いながら戦う『M-1グランプリ』。過酷なこの大会を来年も楽しみにしています。

※追記※

各審査員の得点一覧が公式サイトに出ています。 http://www.m-1gp.com/top.htm

※今年はこの記事が最後になりそうです。皆様、お付き合いいただきありがとうございました。よかったら、来年も遊んでやってください。