Lotta love

今回もかなりの反響だったと思しき『リンカーン』の「世界ウルリン滞在記」。そのキーワードを入れてくるということは、見逃した方も多かったのでしょう。というわけで、ただの感想ですが「ウルリン」について。

リンカーン』(TBS)

前回は「どんだけ〜」という流行語まで生み出した企画世界ウルリン滞在記。3回目となる今回は中川家・剛さんがラッパーたちと1週間を過ごすというものでした。

剛さんが入門したラッパーチームは「練マザファッカー」。地元・練馬を愛するラッパーたちですが、一見するとみんなかなりのコワモテ。ただでさえ及び腰の剛さんは、そのメンバーの雰囲気やディスる(けなす/軽蔑する)という独特の言葉などに面食らいます。さらに、リーダーのD.Oさんと会ったときには文末に必ずつく「メーン」が気になってしょうがない様子。いちいち「“メーン”って言うんですか」と言うと「“メーン”につっこみすぎだろっ!」と、その後いろいろお世話になるbay4kさんに注意されてしまいます。

そんな感じなので、最初はそのラッパー独特のスタイルにスタジオで見ている出演者も爆笑していましたが、ヒップホップをやるためにみんなで働いている姿を見たあたりから見方が変わってきた感じ。剛さんに浴びせられた「所詮漫才師なんてこんなもんでしょ」という屈辱的な言葉は出演陣にとってもキツいものだったかもしれません。

でも、ラッパーにとってはこの悔しさが原動力。剛さんは奮起し、さらに「1週間では無理」と言われていたステージにも立って自ら書いたリリック(歌詞)によるラップを披露しました。歌詞の内容は、普段、面白おかしく語られる子供の頃の貧乏話や漫才師になってから経験した病気のことなど。本当は苦労したり、つらい思いをしたりしていたことを吐き出すようにラップする姿は、最初の頃のおどおどした感じとは全然違ってサマになってました。

そして別れの時には、前回のゲイのマーチングバンドのときのFUJIWARA・藤本さんと同じく、剛さんも涙々…。最初はお互い水と油のような間柄でしたが、最後は仲間になれた様子。「所詮漫才師なんて…」と言ったメンバーも剛さんを認めてくれたのでした。bay4kさんの「芸人、すばらしいよ。マジで」という言葉はほかの出演者にもグッと来たかも。

前回の「ウルリン滞在記」でも感じたのだけど、一見まったく接点のなさそうな人も、興味の矛先や趣味こそ違えど根っこにあるものは同じなんだと思います。だから、特殊に見えるコミュニティでの話にも引き込まれていくんだろうなあ。みんなどこかで悔しさをバネにしてるんだもんね。私も最後はウルッときましたが、フジモンがあんなに号泣するとは(苦笑)。でも、「最高メーン」という気持ちはわかるよ。

リンカーン』は毎回見ているわけではなく、しかも「ウルリン滞在記」も1回目は見てないのですが、この企画はもう少し長めに時間をとって放送されたら良いなあと思います。芸人さんが泣いたり、変にまじめに取り組んだりする姿を見せるのって、仕事上、損なところもあるのかもしれないけど。ぐっさんの泣かせるラジオ「ミッドナイトリンカーン」をやったぐらいなら、できなくもなさそうですが。しかし、「どんだけぇ〜の泉」とのギャップがねぇ…(苦笑)。