犬は吠えるがキャラバンは進む

何度見てもあまり好きになれないエンタの神様。それでも、今回は何組か気になる芸人さんが登場したので、いつもよりはちゃんと見ました。

パペットマペットに続いて登場した中山功太さんは、得意のDJモンブランのネタ。中山さん演じる恥ずかしい言葉を吐く男の行動を、これまた中山さんが演じ、声だけで登場するDJモンブラン「ちぇけら〜」とツッコミまくります。今回はバーで女性を口説く男という設定。「初めて会った気がしない」という常套句に始まり、同じ血液型なのを知り、「キミがケガしたら輸血できる」と迫る男にDJモンブランは「お前と血がつながるのはマジ勘弁」。…口説かれる女性の代弁者、DJモンブラン

次は、イベントの企画で中山さんと「たばこ」という漫才コンビを組んだこともあるネゴシックスさん。例によって、自作の小道具で笑わせます。今回は裁判所にあらかじめ「勝訴」の紙があったらという話。「勝訴」の文字が立体的になっていたり、「勝新」と書かれていたり、紙ではなくふんどしに書いてあったりとツッコミどころ満載でした。

POISON GIRL BANDは『エンタの神様』では定番の夢子ちゃんのネタ。漫才じゃなくてコントです。吉田さんが阿部さん扮する夢子ちゃんに「クラブ(踊りに行く方)」を説明しますが、さっぱり話が通じない。ターンテーブルを回転するからというだけで台風と間違えたり、ヒップホップのミュージシャンを手つきが似てるせいで市場でセリをしている人たちと勘違いしたり。おバカな暴走列車よ何処へ…。

くまだまさしさん「びっくりエクササイズ」。パッティングブラシで頭を叩いたら、毛が生えましたというネタですが、背中の部分にカツラをしこみ、手を挙げると自動的に頭にカツラがのるようになっていました。ネタ見せ時間、わずか1分。「超個性派芸人が次から次へと登場します」という新聞のテレビ欄の見出しにふさわしい感じでした。しかし、1分か…。

番組初登場のパンクブーブーはコントで登場。殺し屋のようないでたちの熱狂的なパンクブーブーのファンが、向こう側からスナイパーが狙っているので言うことを聞けと迫ります。ネタを作っているのはどっちか?とか、この間のライブでやったのは新ネタですか?とかマニアな質問を投げかけたり、妙な感じで2ショット写真を撮ったりした後、話題はなぜか黒瀬さんのプライベートの暴露話へ。熱を出して行かなかった打ち合わせの日に実はコンパをしていたとか、彼女に「ジュンジュン」と呼ばせているとか。結局、熱狂的なファンだと思っていた人物は、相方の佐藤さんだったというオチでした。

この5組以外にも、今回はアンジャッシュオリエンタルラジオ長井秀和さん、ホリさん、波田陽区さん、魔邪さん、パペットマペットが出演しています。

『お笑い芸人就職読本』(草思社)の中で『エンタの神様』のディレクター五味一男さんは、番組について万人受けを目指しており「笑いの要素は劇場向きかテレビ向きか判断し、テレビ向きでない笑いはカットする」と話していました。多くの視聴者の取り込み、興味を失わせないためには当たり前のやり方なのでしょう。それは分かるんだけど、残念ながら私にとっては何となく物足りないし、パターン化されたスタイルばかりで出演者が出てくるだけで「またアレか…」とうんざりすることもあります。実は中山功太さんって、以前、この番組によく出ていた時はあまり好きではありませんでした。でも他の番組やライブを見てからは先入観もなくなり、今では好きな芸人さんの1人です。

エンタの神様』向きの芸人さんがいるように、この番組向けとされている視聴者もいるはず。私は『エンタ』向きの視聴者ではないみたいだけど、別にいいや。ユルさ、ヌルさ大好き。