カルチャーショック?

今週木曜日の『ぶちぬき』外国人スペシャ。出演者ではなく、観客が外国人の方です。毎日 日替わりの内容で放送しているこの番組、極楽とんぼがMCの木曜日は「鬼のつぼ合戦」として、若手芸人が一発ギャグやショートコントを披露しています。桃太郎の格好をした山本さんが「山本桃太郎」と称して、さまざまな若手芸人を繰り出し、観客を笑わせようとします。でも、観客はその手に乗って笑ったら負け。怖い鬼が出てきて、即刻退場させられます。逆に誰も笑わなければ、山本さんが鬼の格好をしたお姉さんに金棒でお尻を叩かれるわけです。

今回登場した芸人さんは、うがじんゆかいパンジパング上陸作戦くまだまさしさん、そして次長課長。英語ネイティブのいるジパング上陸作戦は有利かと思われましたが、オーストラリア人のチャドさんが日本語しかしゃべらず、しかも師匠のぼんちおさむさんのモノマネをしたりしたので、アドバンテージは生かせずじまい。他の芸人さんたちも観客に日本語が通じないので、片言の英語を使ったり、果ては日本語なのに外国語風のイントネーションになったりして(笑)、なんだかやりにくそうでした。

トリの次長課長は今やどのテレビ局にも引っ張りだこ。あちこちでモノマネをやっては大ウケしていますが、この日は最近でこれほど受けなかったことはない、というぐらい笑ってもらえませんでした。ネタは、まず「こんな罰ゲームがあったらイヤだ」というもの。先日やりすぎコージーでもやってたけど、タイヤにナイフがついているF1カーが近くを通り過ぎたらとか、スカイダイビングで途中でパラシュートが取れたらとかそんな感じの内容で、全部日本語で説明したせいか、観客はクスリともしません。その後の「実家に帰った時にだんなさんをいさめる奥さん」や「酔っ払いを見事に止める人」のマニアックモノマネも不発。結局、次長課長の2人も鬼のお姉さんにお尻を叩かれていました。

逆に一番受けていたのは、うがじんくまだまさしさん。うがじんはいまどき珍しいチャンバラスタイルのコントで、その辺も外国人の心を捉えたのかも。くまださんは、腕を上に上げるとお尻が見える仕掛けになっていたり、お面を上げると鼻にフックが引っかかってすごい顔になっていたりと、言葉がなくても笑わせられるネタばかり。今後、外国人だけが相手という状況はまずないと思いますが、こういう時には変に凝ったりするより、シンプルな笑いを追及した方が良いのかもしれませんね。

一方、お客さんたちは拍手をする時には歓声を上げ、笑っちゃいけないコント中は面白さが分からなければ死んだような表情だけど、ちょっとでも面白い時は苦しそう。その分、笑って鬼に担ぎ出される時には大喜びで、手を振ったり、ガッツポーズみたいなことをしたりと、それぞれにいろんなアピールをしながら退場していきました。言葉が分からなくて探り探りの芸人さん達に対し、そんなことはお構いなしの外国人軍団でした。

もう何年も前、ほんの短い間、イギリスで暮らしたことがあるのだけど、その時、一番驚いたのは現地の人たちの感情表現の豊かさでした。映画館で映画を見ているときも、日本人なら笑い声も泣き声も控えめなのに、向こうではストーリーをすべて楽しむかのように面白いところでは大いに笑い、悲しい場面では「おぉ〜」と同情の声を上げたりしていたのがとても印象に残っています。この日のお客さんの番組を楽しんでいる様子には、そんなイギリスの映画館での光景を思い出しました。出演芸人さんたちには言葉や感覚の違いと積極的に笑ってもらえないのと二重の苦しみがあったけど、なりふり構わずガンガン懐に入って行っちゃった方が笑ってもらえたかもね。