忘れじの味

期待してなかったのに、いい方に予想が裏切られると得した気分になりますね〜。というわけで、28日に放送された番組について。

『超人気芸人100人大集合!お笑い国盗りクイズ!!芸能界仁義なき派閥抗争特大スペシャル』(TBS)

このブログをよく読んでくださる方にはお分かりのように、私はゴールデンタイムの番組より深夜の濃い番組の方が好み。個人的な傾向として、好きの度合いが増すと狭い方に走っていきがちなので、だんだん恐れを知らない深夜帯に周波数が合ってしまうわけですね。この『お笑い国盗りクイズ!!』は思いっきりゴールデンタイムの放送でしたが、いや〜、この時間にこんなに自由なボケを許してくれてありがとう!そして今田さんありがとう!という感じでした。

出てきた芸人さんたちは3月で終わった同じTBSの深夜番組『企画工場 なりあがり』を思わせるようなメンバーM-1覇者のブラックマヨネーズ安田大サーカスレイザーラモンなどこの時間帯でもよく知られているであろう芸人さんから、司会の今田耕司さんすら知らなかったHEY!たくちゃんのように、そこそこ意識してバラエティ番組を見ていないと分からないような芸人さんまで総勢108人が集結しました

番組では この108人の芸人さんたちが兵士となり、すでに決められている5人の大将のうち、誰についていくかを選んで軍(チーム)を構成。そして軍対抗のクイズを行い、勝った方は負けた軍の兵士を吸収し、勢力を拡大していきます。最終的にはこの芸人さんたちが1人の大将の下に統一されるというわけです。

今回の大将は関根勤さん、極楽とんぼ・山本さん、キャイーンウド鈴木さん、カンニング・竹山さん、インパルス・堤下さんの5人。堤下軍が最初に消滅し、竹山軍が山本軍に吸収され、関根軍は千原ジュニアさんがブレーキになるというまさかの展開で消え、最後は山本軍とウド軍の一騎打ちに。結局、山本軍が勝利を収めましたが、本当にうまく統一していたのは司会の今田さんだったみたいです。

ただ単に番組を進めるだけじゃなく、出演者の笑わせどころや持ちギャグをしっかり把握している今田兄さんはいいフリもしてくれるし、みんなのボケも許してあげます。島田珠代さんお得意の「チーン!」には「やかましわっ!」と的確かつ食い気味にツッコミ、FUJIWARA・原西さんには「これはなるほどの問題やったでしょ?」と「♪なるほどな、なるほどなるほど、なるほどな」のギャグを引き出し、機械の問題を答えるところで長州小力さんが「アントニオ猪木」と言ったときには「斬新」とお褒めの言葉が。

特に「イタリア語で“ボーノ”(おいしい)と言うときのジェスチャーは?」という問題では、ウド軍の持ちギャグ連発攻撃を盛り上げます。スマイリーキクチさんの仲本工事さんを真似た「はい、ポーズ」に始まり、やるせなす・石井さんが「どうも、石井ちゃんです」、マイケルさんも「うマイケル」と続き、マギー審司さんは「は〜、ボーノ」と耳が大きくなり、と留(とど)まるところを知らず。山田花子さんは「ボーノ、すいません」ともはや林家三平。さらに、はなわさんは松井選手のモノマネで「えっ」。なかなか正解を出そうとせず、徐々に後ろに下がる芸人さんたちにアシスタントの女子アナからは「答えてない方、前に出てください」とイラだったような声が飛びますが、今田さんが「これは芸人の気持ちの距離なんです」。ちゃんとフォローもしてくれるのね。

そして、回答せずに残っていた三瓶さんには「やっとグルメにふさわしいヤツが来た。三瓶くん、軽〜く決めちゃってください」とナイスアシスト。もちろん三瓶さんは期待に応えて「♪三瓶です」をやってくれました。その後のウド軍参謀の天野さんとエレキコミックのやついさんのコンビネーションギャグには悔しそうな表情だった今田さんでしたが、次のリットン調査団・水野さんの「お嬢さん、春菊が歯に挟まってますよ…」と訳の分からないボケには鉄拳制裁(笑)…といい感じで笑いが続いていたウド軍でしたが、ここで波田陽区さんが「ボーノ、ボーノ、あけボーノ」とまさかのダジャレ…。しかし、流れが悪くなったと見るや否や、今田さんは再びスマイリーキクチさんの仲本工事を投入。すばやい判断で自ら「はい、ポーズ」を要求しちゃいました(笑)。

そんな今田さんは笑いをつぶす人には厳しい態度。他の事務所ならともかく、吉本の後輩たちにはボケを求めます。だから、いきなり正解を出した2丁拳銃・小堀さんには「お笑いつぶすヤツ、つかまえた!」。小堀さんはボケたつもりが当たってしまったんだそうです(笑)。

最初こそきっちり背広を着ていた今田さんですが、2戦目で早くもジャケットを脱ぎ、3戦目には袖をまくり上げて、出演するすべての芸人さんたちに全力でお付き合い。後輩たちもそれに応え、バッファロー吾郎・木村さんは殴られてもいないのにメガネをずらし、たむらけんじさんは役割をわきまえて獅子舞で見た目を華やかにし、ジャリズム・山下さんとレイザーラモンRGさん、マイケルさんは組み体操で笑いを取りに行きました。

バラエティ番組でも、司会者の他の出演者に対する目線が常に上からで、圧迫感みたいなものを感じる場合があるけど、今田さんの司会は出演者との距離感がいつも気持ちいいような気がします。特に今回はむしろご自分も輪の中に入りたいぐらいだったようで、博多華丸さんの児玉清風コメントにバッファロー吾郎・木村さんがこそっとからんで盛り上がっていたときには、「あ〜、何やろ。今のからみ、聞きたかった〜」と残念そうでした。あれは私も聞きたかったわ〜。後ろにはリットン調査団の藤原さんもいたしね。

そんなこんなで珍しくゴールデンに永久保存したくなる番組が見られました。あ〜、面白かった。