とにかく笑えれば

雨ですね〜。この間の『M-1』のこともまだ書いてないけど、10月から放送の深夜番組『木村とご飯』について。

『木村とご飯』(テレビ東京

芸人としても、そして玄人はだしの料理の腕前の持ち主としても知られる木村祐一さんが、ゲストに芸人さんを迎えて、「芸人としての今が出来上がるまで」を聞くトーク番組。この番組では木村さんが腕を振るうのではなく、ゲストのお勧めの店に行って一緒にご飯というか、その店の料理を食べながら話をします。10月から始まり、これまでにはオール巨人さん、関根勤さん、インパルス、出川哲郎さん、桂三枝さんが出演しました。

東京ではやりすぎコージー』(テレビ東京)が終わった後の深夜2時50分からと、かなり深い時間からの放送。そのせいか早い時間の番組とは違う まったり感というか、ほっこり感というか、そんな雰囲気を感じつつ、気楽な気持ちで見られる番組です。巨人さんや三枝さんといった、師匠の話は興味深かったし、他の出演者の方の話も今までに聞いたことのある内容だったりもするけど、聞き手が木村さんということもあってか、また一味違う感じがします。

中でもちょっと印象的だったのは、出川さんの話。「リアクション芸人」と言われる出川さんの転機となった番組は、『お笑いウルトラクイズ』なのだそう。たけし軍団ダチョウ倶楽部などが出演したこの番組は、突然車が爆発したり、バスで海につっこんだり、全身に金粉を塗って長時間我慢させたりと過酷極まりない内容。あまりのすごさに爆笑してたけど、正直、当時はひんしゅくも買ったんじゃないかと思います(今ではDVDにもなっています)。でも、出川さんはこの番組への出演がウッチャンナンチャンと一緒に出ている人」というところから脱却するきっかけになったんだそうです。

その今でも忘れられない場面というのが、『ウルトラクイズ』のスタジオでのコーナー。まだ番組に出始めた頃、「たけしさんに一言」と言われた出川さんは、「たけちゃん、これからもよろしくな」と敢えて上からの物言いをします。すると軍団メンバーやダチョウ倶楽部など出演者がひな壇から降りてきて、出川さんを「みんなでボッコボコにしてくれて」(出川さんの発言ママ)、これが涙が出るほどうれしかったんだそうです。それは殴られることが喜びなのではなく(苦笑)、ウッチャンナンチャン出川哲郎」から「芸人・出川哲郎」としてスタートできたと感じたから。殴られてはいるんだけど、その中で他の出演陣から認められたと分かり、「仲間だぜ」という思いが感じられたんだそうです。

そんな出川さんの夢は「おじいちゃんになっても熱湯に入っていたい」。年をとってそういうことをしてもかわいそうと思われず、「バカだね〜」と笑ってもらえたり、若手に背中を押されて熱湯の中に入れられたりしたら最高なんだそうです。

M-1グランプリ』の1回戦で、審査員の方が「ツッコミの人がボケの人をドツくとき、見る側が痛いと感じてしまうやり方ではダメです」といったことを話していました。テレビで見ているだけでは分からないけど、私もこのときいろんな人たちの漫才を見たおかげで、その上手い下手の差みたいなものが少し分かったような気がしました。今はいろいろなことがあるし、どちらがどうとは一概に言えないけど、誰にでもできそうなことでもそこにはプロのテクニックがあるわけで。到達するまでの流れも必要なわけで。そして、傍から見ればバカバカしいことでも当人には意味のあることだったりもするわけで。だから、ある一点だけを捉えて全否定することってできないよな〜なんてね。ま、なかなか難しいけれど。

とは言え、つらい中からうれしい瞬間を見出した出川さんも本気のつらい目に遭わされているそうで、そのときはもう本当に大変なことに…。痛かったんですか、そうですか。でも頑張れ、リアクション芸人!

というわけで、本日第6回目(6食目)の『木村とご飯』、ゲストはフットボールアワーです。あの話はあるのやら、ないのやら。