あの娘はタクシー止めたよ

だいぶ遅くなりましたが、『M-1』2回戦@東京の3日目について。

M-1グランプリ2006 2回戦第3回』(ラフォーレ原宿

11月3日の第1回と比べると、アマチュアが多かった2回戦第3回。そのせいもあるのか、今回の合格者は3日間で一番少ない31組でした。

マチュアで次に駒を進めたのは、TEAM BANANA加藤加藤の2組のみ。TEAM BANANAは女子高生の2人組で、高校生のお笑いコンビが競い合うM-1甲子園』の今年のチャンピオン。今回は年号を覚える語呂合わせを作るというネタでした。ツッコミの山田さんが木の実ナナさんに似てるとやたら言われてたけど、長い髪と相方のほうを向いてるせいで分かりにくかったかも。加藤加藤は、コンビなのにしゃべったり動いたりするのは1人だけ。もう1人は相方に無理矢理手取り足取り動かされ、ほとんど人形と人形遣いといった状態(苦笑)。去年も1回戦あたりで見たような気がしますが、今年はその不自然さが奇をてらった感じに映らず、素直に面白かったです。

他に印象的だったコンビ/トリオを挙げると、ザ・パンチ「お願い、死んで〜」という松尾さんのツッコミが見るたびに若干変化しているみたい。『M-1リターンズ』では「それはいいね〜」と賛同するところが見られましたが、今回は相方の浜崎さんにモノで買収されてました(苦笑)。いつものパターンなのに、少しの違いを発見するうれしさとあいまってクセになるコンビ。見れば見るほど気になる感じはガブ&ぴーちとも通じるところがあるかも。エルシャラカーニは説明すればするほど謎の言葉が出てくるという迷宮ラビリンスなネタ。どんどん深みにはまっていく感じがグーでした。

ルサンチマンはボケがツッコミに同意する変わったタイプの漫才。ツッコミの言葉に「確かに!確かに!」ディベートでもしてるのか?というノリで賛同するんだけど、結局はあらぬ方向へ。その繰り返しが積み重なって、どんどん面白くなっていきました。あべさく1回戦の感想でも紹介したとおり、あべこうじさんと佐久間一行さんのコンビ。10日前の1回戦とは別のネタで勝負してきました。地震が来たら…というネタだったけど、あべさんからは「まず審査員の先生に逃げていただいて…」というゴマすりも(笑)。急造コンビって やっつけ感が否めなかったりもするけど、それぞれの持ち味を残しつつの楽しい漫才だったと思います。

ミルククラウン恋の始まりは2人がぶつかるところから、という割とオーソドックスなネタでしたが、いろんなパターンが予想以上に面白かったです。その中にはお互いの中身が入れ替わるベタな展開もあったけど、あの流れの中ではそれすら笑けたはず。グランジはトリオ漫才ですが、コンビニを退職する人を卒業生みたいに送り出そうというネタをやってました。「楽しかった」「運動会!」的な割りゼリフの呼びかけには、「後ろから見守ってくれた贈答品!」(実際のセリフは違うかもしれないけど、大体こんな内容)みたいなのもあったり。営業中にやってるので思い通りに行かない、といった辺りも面白かったです。

トリオと言えば、ニブンノゴ!はF1のピットインのシーンでいろんなことが起きちゃうネタでしたが、あんなツッコミが許されるのはリーダーだからなんだろうなあ…(笑)と思うことしきり。大事な持ち味だと思いますよ。それとポテト少年団は、例によってメガホン・ツッコミが利いてました。NSCジュニア所属のスパイスクッションもトリオ漫才。野球のヒーローインタビューのネタで、大人に引けをとってなかったと思います。初日に出場した わかんない がモロに子供だったのに比べると、だいぶお兄さんでしたが、やっぱりこなれてますね。合格できなかったのは残念だったね。今回、トリオで出場した方々も結構見ましたが、ツッコミの立ち位置は もはや真ん中とは限らないのね。最初は気持ち悪かったけど、だんだん慣れてきました。

私が見た2回戦の2日間をを振り返ると、今年は方言で漫才をする方々が多い気がします。地方の1回戦を勝ち上がってきた人たちがいたせいもあるのかもしれませんが、関西弁だけでなく、九州や名古屋あたりの言葉でネタをやってたコンビもかなりいたように思います。北限はU字工事の栃木弁でしょうか?東北まで行くと、人に伝えるのが難しくなるかなあ…。M-1』には出場してないと思いますが、津軽弁の自然隊も分からない感じがウリみたいだもんねぇ…。わんこそば地区、なまはげ地区、萩の月地区あたりにゆかりのある者としては(笑)誰かに打開してもらいたいところですが、来年以降に期待してみようかな。

あとは、最後の「もうええわ」といった締めの言葉もいろいろみたい。メモを取ってないので具体的なことがほとんど書けないのですが(すいません)、サンドウィッチマンの「もういいぜ」とか、サカイストの「どうもありがと」とか、あとはコンビ名を言うとか。イシバシハザマとか安田大サーカスも独自のフィニッシュですね。特に2回戦初日は「こんなにいろいろあるかね」と思ったぐらいでした。

それと2回戦3日目の総評では、「1回戦をギリギリで通過した人たちが2回戦で苦しんだ」という話がありました。1回戦ではキャラクターやインパクトも加味して採点されたようですが、2回戦はそう甘くないようで。私が見た1回戦は最近話題の外交問題をネタにしているアマチュアコンビがやたら多かったのですが、2回戦ではそういう危険なにおいのするネタは難しかったかも。だって最後はテレビで放送されるんだもんね。よほどじゃなきゃね。

というわけで、今週末から『M-1』は早くも3回戦。やっぱ行っちゃおうかな、オオサカ(※追記※行っちゃいました⇒コチラ)。

※追記※ すでに報道されているように、東京会場の2回戦第3回に出場していた鼻エンジン村田渚さんが11日未明に亡くなられました。まだ35歳でした。この日はヒーローと怪獣のネタをやっていましたが、いつものように、相方の松丘さんが赤いリストバンドを右にしたり左にしたりすることに、村田さんがブチ切れてつっこむ場面もありました。昨年準決勝に進んだため、今年はシード権を得て2回戦からの出場。もちろん、3回戦進出も決めていました。村田さんのことはよく存じ上げませんが、ご本人も残念だったろうと思います。清水キョウイチ郎さんに続いての訃報で本当に驚きました。ご冥福をお祈りいたします。