なにはなくとも

最近は全国放送でたくさんの芸人さんが見られるようになり、かつてのように関西ローカルでないと見られない希少価値の人たちや、気心知れた場所ならではのエピソードを聞く機会が少なくなったような気がしていました。でも、先週は久しぶりに「関西ならでは」の雰囲気を感じる機会が。それが3か月半遅れの『ジャイケルマクソン』と『探偵!ナイトスクープ ザ・ゴールデン』でした。

ジャイケルマクソン』(GAORA

今回の企画は「芸人国勢調査」。過去4回行われ、大阪の吉本所属の若手芸人さんだけが出演していた企画「吉本国勢調査」に、今年はホリプロ、ワタナベエンターテイメント、松竹の芸人さんも参加。一見すると「関西ならでは」感がなさそうでしたが、やはりディープな面白エピソードは西のほうにたっぷりあるようです。

何せ面白かったのは松竹の師匠たちの話。『やりすぎコージー』の「松竹帝国の逆襲」でも話題になっていたけど、たぶんそのとき以上に深くて切ないエピソードのオンパレードでした(笑)。出てくる師匠たちも、海原はるか・かなたさんや横山たかし・ひろしさん、酒井くにお・とおるさんなど馴染みのある方々から、宮川青丸・とんこさん、朝起太郎さんなど、知る人ぞ知る感じの芸人さんまで幅広く、この時点でかなり話は濃ゆいわけで。

さらに、この師匠たちのエピソードときたら、「テレビではなるべく前に出たくないので、MCの若手に話をふられると『いじるな!』と言い、無理矢理前に出そうとすると『さわるな!』と腕を振りほどく」とか、はるか・かなた師匠の人気に嫉妬した別の師匠が大事なはるか師匠の髪を切ったとか、とってもマイナスオーラが出てる感じ(笑)。
中でもおかしかったのは、「三波春夫でございます」のフレーズが懐かしい、レツゴー三匹レツゴー正児の話。この日のゲストのメッセンジャー・黒田さんが正児さんの自転車が盗まれた話をすると、安田大サーカスの団長からすかさず訂正が。自転車だけじゃなく、自転車のかごに入れていたトイプードルのポポちゃんも一緒に盗まれたんだそうです(笑)。…ここまで来ると笑うしかありませんね。

師匠の話は、大阪ならみんなが昔から慣れ親しんでる分だけ話しやすいところもあるのかもしれません。さらにこの日は、こういう師匠方と絡みがありそうなメッセンジャー中川家がいたので、松竹の芸人さんとのいいコンビネーションから更なる面白さが生まれていたような気がします。

そうそう、松竹からは森脇さんネタももちろんありました。あれも何度聞いても面白いですねぇ…。どこかで伝説検証みたいなことをやったりしないのかしら?(笑)そのときはもちろん、団長にも出ていただいて、と。

探偵!ナイトスクープ ザ・ゴールデン』(テレビ朝日

長い歴史の中で初めてのゴールデンタイムでの放送となった『ナイトスクープ』。個人的には久しぶりに見ましたが、やっぱり面白い。しばらく見られなかった日々を後悔した2時間でした。

たぶんあの面白さって、どんなことにもみんなでトコトンお付き合いするところにあるんじゃないでしょうか。「うちに面白いオウムがいるので見に来てください」というたわいもない依頼を受けて本当に見に行ったり、「“携帯便器”なるものの精度を確かめよう」という探偵の言葉に依頼者が本当に挑戦したりと、番組を作る人たちも依頼をする人たちも、そして見ている視聴者も最後まできっちりお付き合いして見届ける。そういう、ほかの番組なら途中で誰かが否定しそうなことをみんなが受け入れちゃうというのが、『ナイトスクープ』の面白さじゃないかなあと思います。

特に今回、一番最後の「プロ野球の審判になりたい少年」はその典型。投稿者で10歳の少年の審判の練習に探偵の松村邦洋さんや少年のお父さんまで参加し、その後には実際に試合で審判をするチャンスも作る。試合の中では、判定に抗議される場面もあれば、両チームが乱闘騒ぎを起こす場面もあり、しかもその乱闘のきっかけは あの川藤さんで、川藤さんに退場を告げるシーンまであったという、すべての人たちが本気で付き合ってくれたおかげで、西田局長じゃなくても泣いちゃう仕上がりでした。みんなステキやん。

どれも大満足でしたが、過去の傑作選はどちらもすごかったですね。世界最高齢のマジシャンのグダグダぶりにも爆笑したけど、「ゾンビと戦いたい子どもたち」は圧巻でした。安田美沙子さんの「面白くて涙が出たのか、かわいくて涙が出たのか分からないけど感動した」という感想、よく分かります。こちらもご近所の皆さんのお付き合いっぷりが見事でした。