「噺」というより「おはなし」で

先日は気になっていた落語会に行ってきました。

『下丸子らくご倶楽部』(大田区民プラザ・小ホール)

名前からも分かるように、「地元の皆さんのための楽しみ」といった感じの毎月行われる落語会。毎回噺家さん2人とゲスト1組が出演しているようです。

この日の出演は、柳家花緑さんと立川志らくさん、そしてゲストに古今亭菊之丞さんという顔ぶれ。だいぶ早く行って、当日券を買ったり、会場が開くのを待ったりしなくちゃいけなかったけど、そのわずらわしさも帳消しになるぐらい楽しい落語会でした。

まず、3人が出てくる前に志らくさんのお弟子さん3人による、若手バトルがあり、それに続いて花緑さんと志らくさんが登場。落語も面白かったけど、この2人のトークもとっても楽しかったです。志らくさんの話に花緑さんが相づちを打ったり、ツッコミを入れたり、時には困惑したり(笑)という感じで話は進み、気がつけば予定の20分をはるかにオーバー(笑)。この前日にあった、志らくさんの本『雨ン中の、らくだ』出版記念落語会のことや、WBCの話、さらには「にわかファン」になってしまうという花緑さんに対し、筋の通った志らくさんのスポーツへの思いなどなど。何だったら、このトークだけを聞く会でも面白かったかも(笑)。

落語のほうは、志らくさんが『寝床』、ゲストの菊之丞さんが『湯屋番』、トリの花緑さんが『蜘蛛駕籠』でした。みんなそれぞれに楽しかったけれど、中でも志らくさんの『寝床』は最高!ストーリーは、ある大店の旦那の下手くそな義太夫に長屋の店子や店の使用人が付き合わされるハメになるというものだけど、この噺であんなにメチャクチャに笑ったことがあったかというぐらいの落語でした。『寝床』では、店子たちが前回の旦那の義太夫の時の阿鼻叫喚ぶりを話す場面がありますが、志らくさんバージョンではいろんな映画のワンシーンに例えられていて、志らくさんならではという感じ。やれ、シャイニングのジャック・ニコルソンだ何だと、時代も何もすべて超越しているわけで、もはや落語の域すら超えてるような。あんなにギャグがちりばめられ、アクション満載の『寝床』は初めて見ました、たぶん。は〜、また見たい。

最近、落語が流行っていると聞きますが、前にも書いたかもしれないけど、私は小学生の頃に読んだ子供向けの落語全集がベースなので、「誰々の何とかという落語はすばらしい」という見方とは程遠いわけでして。むしろ、あの本で読んだものが目の前で実演される喜び、とでも言いましょうか、そんなものを楽しんでいます。きっかけがないとなかなか手を出しにくいところかもしれませんが、こうやって寄席以外のところでもずいぶん落語会が開催されてるようなので、未体験の方々も足を運んでみるといいですよん。